交通問題イメージ自賠責保険金請求の基礎知識【Q&A】

はじめに

私は、兵庫県警の現職時代、交通事故捜査や交通指導取締り等に約20年間従事していました。特に、交通事故捜査においては、悪質な死亡ひき逃げ事件特別捜査本部への長期間にわたる特別捜査や100箇所以上にも及ぶ悲惨な死亡事故現場への臨場、そして人身事故発生現場には当直勤務中、なんと一晩に12箇所の現場臨場を経験したことがあります。
そして、私事で申し訳けありませんが、実は平成9年に母を交通事故で亡くしております。ですから、私は本当に交通事故の怖さ、被害者及びご家族の心情を自分のことのように理解できます。
私は、行政書士という立場から被害者の救済に努めるため、当事務所に「神戸交通事故被害者救済センター」を設立し、被害者対策の一環として交通事故における損害賠償請求(被害者請求)を積極的に行っております。被害者の皆様方、泣き寝入りや保険会社の言いなりになるようなことは決してせず、我々プロにお任せください。

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは

 

自動車事故による人身事故の被害者の方を救済するため、自動車損害賠償保障法によって、原則として原動機付自転車を含む全ての自動車に契約が義務づけられている保険で、強制保険ともいわれています。

自賠責保険でお支払いできる場合とは

自賠責保険は、

1)自動車の「運行」によって「他人」を死傷させた場合

2)加害者が法律上の損害賠償責任を負った場合の損害についてお支払いする保険です。

自賠責保険でお支払いできない場合とは

1)加害者に責任がない場合

2)電柱に自ら衝突したような、いわゆる自損事故で死傷した場合

3)自動車の「運行」によって死傷したものではない場合

4)被害者が「他人」でない場合

5)保険契約者または被保険者の悪意によって損害が生じた場合

ご請求の方法

自賠責保険は加害者の方(加害者請求)、被害者の方(被害者請求)どちらの方からもご請求ができます。
加害者の方からの請求と被害者の方からの請求が同時になされたときには、加害者の方からの請求が優先されます。

内払金請求とは

治療継続中の場合で、その間の治療費・休業損害などが被害者の方1名につき10万円以上に達したと認められるときに請求することができます。 

仮渡金請求とは

加害者側から損害賠償金の支払いを受けていない場合で、当座の費用にお困りのときは、加害者の加入している保険会社に前払金として「仮渡金」を請求することができます。

【仮渡金額】
死亡事故   290万円
傷害事故 ◎入院14日以上かつ治療30日以上を要する場合
◎大腿または下腿の骨折など
40万円
◎入院14日以上を要する場合
または入院を要し治療30日以上を要する場合
◎上腕または前腕の骨折など
20万円
◎治療11日以上を要する場合 5万円

ご請求からお支払いまで

自賠責保険では、公平・適正なお支払いを行うために、各保険会社 窓口で受け付けた請求は損害保険料率機構の自賠責損害調査事務所が調査し、その結果に基づいて各保険会社が最終的に支払保険金を決定し、お支払いをしています。
このため、お支払いまでにある程度の日数を必要とします。

自賠責損害調査事務所とは

自賠責保険では、公平・適正なお支払いを行うために、損害保険料率機構自賠責損害調査事務所に損害調査を依頼しています。
損害保険料率算出機構は、「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づいて設立された法人で、その事業の一環として自賠責保険についての損害調査及び政府の保障事業についての損害調査を行っています。

損害保険料率算出機構における審査体制

損害調査の過程において、自賠責保険がお支払いできない若しくは減額の可能性がある事案・後遺障害の等級認定が難しい事案・異議の申立てがあった事案など、自賠責損害調査事務所では判断が困難な事案については、自賠責損害調査事務所の上部機関の地区本部・本部で審査が行われています。

10お支払限度額

○傷害による損害 被害者1名につき   120万円
○死亡による損害 被害者1名につき 3,000万円

11未成年者の保険金のご請求は

未成年者は単独で保険金を請求することはできません。
親権者(原則として父または母)または、未成年後見人の方から請求していただくことになります。

12死亡事故の場合の被害者請求は

被害者が死亡されたときは、相続人が被害者請求をすることができます。
相続人となる方は、

1)配偶者と子

2)子、孫ともいないときは配偶者と父母(父母が死亡していれば祖父母)

3)子、孫、父母、祖父母すべていないときは配偶者と兄弟姉妹

13加害自動車が2台あるときは

加害自動車が2台あるときは被害者は両方の車の自賠責保険に請求できます。
この場合も保険金は実際の損害額についてお支払いすることになりますが、お支払い限度額は2倍になります。

14保険金が減額されるとき

被害者の方に重大な過失があった場合にのみ被害者の方の過失割合により下表の割合が損害額から減額されます。

被害者の過失割合 後遺障害による損害・死亡による損害 傷害による損害
7割未満の場合 減額なし
7割〜の場合 20%減額 20%減額
8割〜の場合 30%減額
9割〜の場合 50%減額

15ご請求のできる期限(時効)

ご請求の期限を過ぎると時効となり自賠責保険からお支払いができなくなります。

1)加害者請求の場合

被害者や病院などに損害賠償金を支払った日から2年以内です。
分割して個々に支払ったときは、それぞれ支払った日から2年以内です。

2)被害者請求の場合

事故があった日から2年以内です。ただし死亡による損害については死亡日から、後遺障害による損害については後遺障害の症状が固定した日から、それぞれ2年以内です。

16交通事故証明書の取り付け方法

交通事故証明書は自動車安全運転センターで発行されます。
警察への届け出がないと発行されませんので、必ず警察へ人身事故として届け出てください。

17交通事故証明書の申請方法

1)郵送による方法

最寄りの郵便局で交付手数料1通につき600円を添えて申請します。2週間程度で申請者のご住所または指定先に郵送されます。

2)自動車安全運転センターの窓口で申請する方法

最寄りの自動車安全運転センターの窓口に交付手数料1通につき600円を添えて申請します。
窓口で交通事故証明書を受け取ることができます。

18政府の保障事業

ひき逃げされた場合や無保険車(自賠責保険の契約がない自動車)・盗難車による人身事故で、加害者側から賠償を受けられない被害者の方は、政府の保障事業に請求することができます。

【注意事項】

政府の保障事業は、国(国土交通省)が加害者にかわって被害者の方が受けた損害をてん補する制度です。お支払いの限度額は自賠責保険と同じですが、次のような点が自賠責保険とは異なります。

1)請求できるのは被害者の方のみです。加害者からは請求できません。

2)被害者の方にお支払いした金額については、政府が加害者に求償します。

3)被害者の方にも過失があれば、過失割合に応じて損害額から差し引かれます。

4)健康保険、労災保険などの社会保険による給付があれば、その金額は差し引いて支払われます。

【請求窓口】

政府の保障事業へのご請求は、国(国土交通省)から法律に基づいて、業務の委託を受けた保険会社で受け付けています。